「片方の靴に中敷きを足せば、歩きやすくなるだろうか」。脚長差が気になると、すぐ試せる方法を探したくなります。ただ、高さを足す前に、どちらへ、何のために、どれだけ足すのかを確認する必要があります。
この記事は一般的な情報をまとめたもので、個別の診断や治療方法を示すものではありません。体の状態やケアの方法は、担当の医療者にご相談ください。
インソールや補高が、選択肢になる場合はある。
脚長差への対応として、かかとを高くする部材や中敷きなどが検討されることがあります。 ただし、誰にでも必要なわけではなく、原因や状態に合わせて判断されます。医療機関の案内でも、評価に基づくかかとの補高やインソールが、対応の選択肢として挙げられています。[1]
大切なのは、商品名から選び始めないことです。「足が短く感じる」「片方がつまずきやすい」「装具を着けると高さが違う」では、確かめたい内容が異なります。先に困りごとと調整の目的をそろえておきましょう。
脚長差がまだ評価されていない場合は、整形外科などで相談してください。長さの評価には、診察や必要に応じた画像検査が用いられます。[2]
測った差と、足す高さを同じ数字にしない。
「左右差が5mmだから、5mmの中敷きを買う」。分かりやすい考え方ですが、家庭で出した数字から、そのまま道具の高さを決めることはできません。評価した結果、どのような調整が必要なのかを確認する工程が入ります。
かかとの部分に入れるものと、足裏の広い範囲に入れるものでは、形も、靴の中で占める場所も違います。「高さ」だけでなく、どこを支える部材なのか、どの靴で使うのかまで確認してください。
処方・調整のときに聞きたいこと
何を改善するための調整か。
左右のどちらに、どの部材を使うか。
どの靴で使い、別の靴ではどうするか。
使った後、何を確認して、いつ見直すか。
すでに補高や装具を使っている方は、自己判断で中敷きや厚手の靴下を追加せず、組み合わせを担当者へ確認しましょう。
靴の中に収まることも、調整の一部。
部材の高さが決まっても、靴との組み合わせが合うかは別に確かめます。装具に関する医療機関の案内では、かかとの補高を使う際にも、しっかり足を保持できる、適切に合った靴が扱われています。[1]
- 足を入れたときに、いつもより窮屈な場所はないか。
- かかとが浮く、靴の中でずれるなどの変化はないか。
- ひもや面ファスナーを、適切に留められるか。
- 装具を使う場合、装具ごと無理なく収まるか。
- 新しい痛みや赤み、歩きにくさが出ていないか。
これらは、家で合否を断定するためのチェックではなく、調整を依頼した担当者へ変化を伝えるための観察点です。合わないと感じたときは、さらに別の中敷きを重ねて解決しようとせず、確認を依頼してください。
試した後は、「慣れ」だけで片づけない。
新しい道具を使い始めたら、「前よりよいか」だけでなく、「どの場面で、何が変わったか」を伝えたいところです。使用時間や試す場所は、担当者の指示に従ってください。
| 記録する場面 | 伝え方の例 |
|---|---|
| 靴を履いたとき | 右のかかとが浮く感じがする/甲の一部が当たる。 |
| 歩いたとき | 曲がるときに不安がある/どの場所でつまずいたか。 |
| 脱いだとき | 赤みの場所/痛みの有無/部材がずれていないか。 |
上の例は、起こると決まっている症状ではありません。自分の言葉で変化を伝えるための例です。痛みや皮膚の異常があるのに、「慣れればよいはず」と我慢を続けないでください。
家族が付き添う場合も、歩いた見た目だけで決めず、本人の感じ方を一緒に伝えましょう。
進み心地の「片方を高くする」とは、目的を分ける。
進み心地の片足アップタイプは、健常側の踵に約5mmの高さを設け、地面についた足の側から、反対の足を振り出すときの引っかかりにくさを考えた靴下です。[3]
脚長差に対して短い側を補う調整と、振り出す足のために支える側の高さを考えることは、同じ説明ではありません。進み心地の5mmを、脚長差の補正量や、すべての人に合う推奨値と捉えないでください。
また、靴下の編み地に設けた高さが、そのまま歩行中のつま先の上がる量を示すわけではありません。道具の仕組みを理解することと、自分に適していると判断することを分けて考えましょう。
商品の目的や構造を知りたい方には、設計を説明する記事を用意しています。すでに高さの調整を受けている方は、新しい道具を追加する前に、その情報を担当者へ共有してください。
気になること
市販のインソールではだめですか?
市販品かどうかだけでは判断できません。調整する目的、必要な形や高さ、靴との組み合わせが合うかを確認することが大切です。すでに医療者の調整を受けている場合は、代替品を自分で決めず相談してください。
短く感じる方にだけ厚い靴下を履けばよいですか?
感じ方だけで調整する側や高さを決めないでください。厚みを足すと靴の中の収まりも変わります。左右差の原因と調整の必要性を確認することが先です。
脚長差が5mmなら、進み心地が合いますか?
数字が一致しても、適合するとは判断できません。進み心地の片足アップタイプは、脚長差の補正量に合わせて選ぶことを目的とした設計ではありません。用途と体の状態を医療者に確認してください。
靴を替えるたびに、中敷きも移してよいですか?
別の靴でも同じように使えるとは限りません。使える靴や移し替えの可否は、部材の取扱方法と担当者の指示を確認してください。
参考情報・出典
- Dorset HealthCare University NHS Foundation Trust「Leg length discrepancy」
- Hospital for Special Surgery「Leg Length Discrepancy」
- シュポーン株式会社「進み心地 — 商品案内」
外部資料の確認日:2026年10月2日。海外の医療機関の資料は一般的な状態・ケアの理解のために参照しています。特定の器具の使用手順・使用時間を、本商品へ転用するものではありません。商品の説明はシュポーンの現行商品案内に基づき、医療機関が本商品を評価・推奨したことを示すものではありません。