SYUPOON

現場の「困った」から、進み心地と添え心地ができるまで

ものづくりのこと企画・編集:シュポーン株式会社

左右をそろえない靴下と、芯材を取り出せる手のグリップ。一見、別々の道具ですが、出発点は同じです。毎日の中にある、小さな使いにくさ。「そういうもの」として通り過ぎていた形を、もう一度考える。心地シリーズは、そこからつくっています。

添え心地の芯材とカバー。形を支える部分と、肌に触れる部分を分けています。
添え心地の芯材とカバー。形を支える部分と、肌に触れる部分を分けています。

当たり前の形に、問いを置く。

靴下は、左右が同じ。手に握るものは、ひとかたまり。どちらも自然に見える形です。けれど、左右の足の状態が違う人や、手を開きにくい人が使うときにも、その形がいちばん合っているでしょうか。

進み心地が考えたのは、地面についている足と、これから振り出す足の関係です。添え心地が考えたのは、手に添えたときの形だけでなく、外して、洗って、また使うまでの流れでした。

道具を足す前に、どこで困っているのかを見直す。誰にとって、どんな場面での使いやすさなのか。心地シリーズでは、その問いを、形や素材の選択につなげています。

進み心地。左右を、そろえない理由。

進み心地の片足アップタイプは、片方の踵に約5mmの高さを設けた靴下です。高い方を履くのは、基本的に健常側、つまり麻痺などのない側の足。地面についたその足を高くすることで、反対の足を振り出すときに地面へ引っかかりにくくすることを考えています。

動かしにくい足を持ち上げる装置ではありません。また、重心移動を促すことを機能として説明している商品でもありません。支える足の側から、反対の足を振り出す場面を考えた設計です。

ただし、靴下の踵の高さと、歩行中のつま先が地面から離れる量は同じではありません。体の状態、靴、装具、床面によっても感じ方は変わります。5mmという数字を、すべての人に共通する効果や最適値としてお伝えすることはできません。

添え心地。握る時間と、洗う時間をつなぐ。

手を開きにくいと、手のひらを確認したり、洗ったりすることにも手間がかかります。そこへ使うグリップは、手に収まるだけで十分でしょうか。

添え心地は、手の拘縮を考えたグリップです。手のアーチを意識した形と、芯材・カバーを分けられる構造を採用しています。肌に触れるカバーを外して洗えることも、道具の大切な機能と捉えました。

使っているときの心地よさと、使い続けるための手入れ。その両方をつなげたいと考えています。なお、手を無理に開くための道具や、拘縮の治療効果を保証する道具ではありません。手の状態に合わせて選ぶことが前提です。

形だけでなく、使う前と使った後も考える。

進み心地と添え心地は、使う場所も、必要な形も異なります。進み心地は、地面についている足と振り出す足の関係から踵の高さを考えました。添え心地は、手に添える形と、カバーを外して洗える構造を組み合わせています。[1][2]

シュポーンが考えたいのは、使っている瞬間だけのことではありません。足や手に合わせるとき、外すとき、洗うとき、また使い始めるとき。それぞれの場面が無理なくつながるかを、道具の形と一緒に考えています。

特徴が一つあるからといって、誰にでも合うわけではありません。「どんな形か」と「自分の体や暮らしに合うか」を分けて確かめられるように、使い方や手入れの方法もお伝えしていきます。

「合うかどうか」を、置き去りにしない。

同じ道具でも、足や手の状態、暮らし方、介助の方法によって、使いやすい点は変わります。商品を知るときには、特徴だけでなく、使う場面と手入れの方法も一緒に確かめてください。

  • 足元の道具なら、家の中と靴を履いたときで、何が変わるか。
  • 手に添える道具なら、圧迫やずれがなく、取り外して皮膚を確認できるか。
  • 毎日使うなら、洗い方や乾くまでの段取りを無理なく続けられるか。

心地シリーズは、答えの出た人だけの場所ではありません。素材や技術はあるけれど、まだ使い道が決まっていない。こんな場面の使いにくさが、ずっと気になっている。そうした話からも、次の道具を考えていきたいと思っています。

気になること

2つの商品は、同じ人が使うことを前提にしていますか?

いいえ。進み心地は足元、添え心地は手に使う道具です。それぞれの用途と体の状態に合わせて検討してください。セットで使う必要はありません。

素材や技術の相談だけでもできますか?

できます。つくるものが決まっていない段階でも、現場の困りごとや素材・技術の特徴から相談いただけます。

商品の価格や販売状況はどこで確認できますか?

各商品ページで最新の情報をご確認ください。この記事では、変わる可能性のある価格や在庫ではなく、開発の考え方を紹介しています。

参考情報・出典

  1. シュポーン株式会社「進み心地 商品情報・設計について」
  2. シュポーン株式会社「添え心地 商品情報・お手入れ」

外部資料の確認日:2026年10月2日。一般的なケアに関する参考情報と、本商品の仕様・性能は区別して記載しています。商品固有の情報は、シュポーンの現行商品案内・取扱表示に基づきます。

素材や技術、現場の困りごとからのご相談は、共創についてのページへ。まだつくるものが決まっていない段階でも、お話を聞かせてください。